不毛な会話が互いの感情を逆撫でし合い、やり場のない気持ちに包まれながら、やがて私は寝入ってしまう。翌朝ガラリと明るくなった母を見て、こちらが困惑することがある。よどんだ気持ちが転げ落ちる雪だるまのように、どんどん大きくなってしまう。そんなある日、母とお風呂に入ったときのこと。母の髪を洗っていると1円玉ほどの円形脱毛を発見した。わたしにはできていない。疲労困憊するほどの、あのトンチンカンな質問の向こうで母は、こんなにも不安だったのか。つかの間ではあるが認識を新たにした。
認識は忘れがちなので記載しておこう。
要介護1の判断基準例